百合が浜
10時に、犬小屋の前に集合して、
マイクロバスで、百合が浜に向かいました。
その日は、12時頃、
沖合1.5Kmのところに、
百合が浜が、出現する予定です。
1.5Kmあたりの1カ所に突然、
島が登場するのではなく、
その辺り一帯が、浅瀬になります。
大金久海岸から、船に乗りました。
あたりにまだ誰もいない、
11時に、船から降ろされました。
すでに、くるぶしくらいしか水はなく、
少しずつ、潮が引いて、
砂地がみるみる大きくなっていきます。
その清らかな砂の変化に、
何をしていいかわかりません。
目の前に、美しい砂があっても、
持って帰ることは出来ないし、
どうアクションしていいか分かりません。
こういうところでの遊び方を
学校で教えてもらっていないのです。
こわばったポーズをして、
携帯のシャッターを押すくらいしか、
することがなくて、
ほんと自分、つまんねえ奴だな、
と、情けなくました。
圧倒的な美しさを
ただ見て感じることは、意外に難しいことです。
潮干狩りや山登り的な、
作業があるほうが、簡単です。
その時撮った写真を今、見ても、
肝心な美しさは、何も映せていません。
はなから、到底、
カメラに収められる海ではありませんでした。
次々と現れる砂は、ただひたすら白く、
海は透き通っていました。
波が影を作り、
白い砂に影が反映して、一部黒くなります。
それが波の数だけ、影が出来るので、
まるで海は、小さなタイルを敷き詰めたように、
規則的な柄が出来ていました。
海に砂地が現れるからって、それがどうした?
引き潮で道が出来るなら、
モンサンミッシェルだって、厳島神社だって、
見れるじゃん?
と思っていましたが、
そんな単純なもんじゃありませんでした。
百合が浜は、赤ちゃんみたいな、
透明な柔肌の浜なのです。
この透明な水と、産まれたばかりの砂地は、
陸地では、再現出来ません。
57年間の、マイベストオブ海でした。
そしてもう、
これ以上の美しい浜には、出会えないでしょう。
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